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今こそ〝美しい情緒〟を

現代社会に渦巻くさまざまな潮流の中で、

何が正しく確かな思考・信念なのかを考え

ようというこの研修会では、お茶の水女子大学理学部数学科の

藤原正彦教授が「本物の持つ力」をテーマに講演した。

その内容をダイジェストで紹介します。

近代社会の破綻

今、世界を見渡すと、核兵器、環境破壊、犯罪の増加、

テロ、麻薬、家族崩壊など、社会や人心の荒廃を

目の当たりにする。

欧米発の近代合理主義に基づく社会が破綻し、

論理、合理、理性といった価値観だけで人類は

やっていけないということが明らかになった。

帝国主義を当時は悪いことだと思う人はいなかった。

なぜならきちんとした論理が通っていたからだ。

劣等な民族のために高等な民族が統治してあげるという、

今から見ると傲慢な論理であるが、疑う人はいなかった。

現在、資本主義を疑う日本人はいない。

しかし資本主義もきちんとした論理が通っているものの、

社会はどんどん荒廃している。

今はやりの市場経済とか競争社会だとかも、本当に

押し進めていくと人類は滅びてしまう。

論理だけで行き詰まるには理由がある。

まず、第一に人間の論理はたかが知れているということ。

以前アXリカで卒業後にタイプを使うことが多いからといって

高校の英語の時間にタイプを教えた。

ところがそれが原因で学生の英語力が低下した。

アメリカの教育学者が論理的に考えた結果がそんなものだ。

2番目は、論理では世の中で最も重要なことを

説明できないということ。

例えば、なぜ人を殺してはいけなのか。

人を殺してはならないのは駄目だから駄目で論理

に説明する必要などない。

野に咲くスミレがなぜ美しいのか。

こういったことも何一つ論理的に説明できない。

3番目に、論理は必ず大きな弱点があるということ。

論理とはAならばB、BならばCというように

組み立てられ、最後のZという結論を導き出す。

出発点Aに着目するとAへの矢印はない。

つまり、出発点Aというのは論理的な帰結ではなく、

いつでも仮説なのだ。

論理に対する情緒力ではー般的に、

この出発点は何によって選ばれるか。

それは情緒力だ。情緒力とは、どういう親の下で育ったか、

どういう友達と付き合ったか、どのような恋愛

や失恋をしてきたかなどによって養われたもの。

ここに、論理的思考も明快で非常に頭が良いが、

情緒力などはあまり発達していなかった人がいるとする。

その人が出発点Aを誤って選択したとすると、

後の論理の正しさゆえに、結論は絶対に誤りになる。

論理や合理以上に、出発点Aを選ぶ情緒力が人間には重要なのだ。

論理だけでは破綻してしまうとするならどうすればいいのか。

それには欧米の論理的思考に対して、

アジアの情操的、情緒的思考というものがある。

それは分析的思考に対して総合的思考ともいえる。

例えば胃が痛い場合、「痛いのが食事前なら胃酸が分泌されすぎ、

後なら分泌しにくいのだろう」と、

食前なら胃酸の分泌を抑える薬を、

食後なら胃酸の分泌を促す薬を飲む。

これが分析的思考の西洋医学。

一方、総合的思考の漢方ではどうかというと、

そのような胃酸の調子を狂わすような体質を治そうと考える。

これからはこうした欧米の局所的な思考に対する

アジアの大局的な思考とでもいうものが非常に重要になってくる。

アジアの中でも日本人の情緒とはどういうものか。

日本人の非常に優れた情緒力のーつとして、

自然への繊細な感受性が挙げられる。

四季の変化に富み精緻なつくりの自然と、

日本人は何十年も何千年も向き合ってきた。

そのために虫の音に感動し、紅葉に目を奪われる。

さらには桜が散れば、はかなさを覚え、

もののあわれをも感じることができる。


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